"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 映画

「病院坂の首縊りの家」





S54.05/26公開 製作=東宝映画 配給=東宝
「病院坂の首縊りの家」
市川  崑 監督作品 
10巻 3,807m 139分 イーストマンカラー 1:1.5ワイド

  ■スタッフ■
製  作:市 川   崑
      
 〃:馬 場 和 夫
      
 〃:黒 沢 英 男
      
企  画:角川春樹事務所
      
原  作:横 溝 正 史
   (角川文庫版)
      
脚  本:日 高 真 也
      
 〃:久 里 子 亭
      
監  督:市 川   崑
        
撮  影:長谷川   清
      
美  術:阿久根   巌
      
録  音:矢野口 文 雄
      
照  明:佐 藤 幸次郎
      
音  楽:田 辺 信 一
      
音楽ディレクター:大 橋 鉄 矢
      
編  集:小 川 信 夫
  〃:長 田 千鶴子
      
スチール:橋 山 直 己
      
監督助手:橋 本 幸 治
      
製作担当者:徳 増 俊 郎
      
           
  ■キャスト■
金田一耕助:石 坂 浩  二
        
        
法眼由香利・山内小雪桜 田 淳 子
        
        
日夏黙太郎:草 刈 正 雄
        
        
妙ちゃん:中 井 貴 恵
五十嵐千鶴(後妻):入 江 たか子
        
        
阪東刑事:岡 本 信 人
富沢平次(パイレーツ):ピ ー タ ー
三之介(法眼家車夫):小 林 昭 二
田辺光枝(滋の母):三 条 美 紀
本條徳兵衛(写真屋):小 沢 栄太郎
        
山内冬子(琢也の愛人):萩 尾 みどり
宮坂すみ(鉄馬の愛人):白 石 加代子
佐川哲(パイレーツ):林    ゆたか
秋山武彦(パイレーツ):小 原 秀 明
原田雅美(パイレーツ):山 本 伸 吾
本條直吉(写真屋):清 水 紘 治
五十嵐滋(猛蔵の孫):河 原 裕 昌
管理人権堂:常 田 富士男
石切鑑識課員:三 谷    昇
老推理作家:横 溝 正 史
        
        
等々力警部:加 藤   武
加納巡査:大 滝 秀 治
        
        
雨宮じゅん(産婆の娘):草 笛 光 子
野呂十次(古本屋):三 木 のり平
        
        
山内敏男(小雪の義兄):あおい 輝 彦
        
        
法眼弥生:佐久間 良 子



■ものがたり■
 その家は「病院坂の首縊りの家」と呼ばれていた。
 長い坂の中腹には洋館の焼失した残骸があり、それに接続して崩れかかった屋敷がある。
 明治から終戦直前まで繁栄した法眼病院跡である。
 法眼病院は戦争末期の空襲で崩壊し院長の啄也も失ったが、それまでは才媛の妻・弥生が夫を補佐して理事長となり、病院の運営にたずさわっていた。
 そして……終戦翌年の二十一年に山内冬子という女性がこの家で縊死したため、いつしか首縊りの家″と呼ばれるようになった。
 病院坂を下ると古い街並みがあり、本條写真館がある。
 明治、大正、昭和と三代にわたる老舗で開業当時からの乾板、フィルムが保存されているのが当主・徳兵衛の自慢である。
 昭和二十六年初冬……渡米用のパスポートを撮りにきた金田一耕助は、最近、恐怖感におぴえている徳兵衛から身辺調査を依頼された。
 その夜、徳兵衛の息子・直吉は奇妙な結婚記念の出張撮影を頼まれた。
 縊死事件のあった忌わしい法眼家の洋間で、中央に風鈴を飾った髭面の男と色白の花嫁の結婚写真である。
 翌日、写真をみた徳兵衛は、花嫁が法眼家の娘・由香利と酷似しているのに驚いた。
 その後……再び同じ場所で風鈴≠フ撮影を注文され、出向いた徳兵衛、直吉、弟子の黙太郎、金田一は風鈴≠みて驚愕した。
 シャンデリアの鎖に風鈴≠フように吊るされているのは無惨にも首を斬り落された髭面の男の血のしたたる生首だった。
 黙太郎は、 部屋の隅からとび出してきたジャズコンポ「怒れる海賊たち」のギター奏者・吉沢平次を捕えた。
 所轄署に「生首風鈴殺人事件」捜査本部が設置され、県警の等々力警部を陣頭に阪東刑事らは家主の法眼弥生、由香利、五十嵐滋、田辺光枝、死体発見者の徳兵衛、直吉、黙太郎、金田一を現場に集めたが、金田一らは由香利が花嫁とあまりに酷似しているのに息をのんだ。
 殺人容疑者として逮捕されていた吉沢は、花婿、花嫁は血のつながりのない山内敏男、小雪兄珠で、街はずれの空きガレージに住んでいると証言した。
 早速、ガレージに急行した捜査陣は、一台のトラックの中で血に濡れた毛布、金鎚、鋸など、死体を切断したと思われる凄惨な現場を発見した。
 等々力警部は、ジャズ仲間の佐川の靴底に付着していた血痕が現場のものと一致したため殺人は敏男、小雪、佐川の三角関係による痴情犯罪で小雪、佐川の共同犯行と断定した。
 その頃、金田一は加納巡査がかつて手掛けた「法眼家縊死事件」から冬子の遺児が敏男と小雪であったことをつきとめた。
 小雪から捜査本部への遺書−
いったんは結婚を承諾したものの、別離の話から狂暴になった敏男さんと争ううちに鋏が兇器となり刺してしまいました。
 母を不幸な死に追いつめた法眼家へ一筋に復讐の念を燃やす敏男さんは、首を母が死んだ場所に吊るすことを遺言し、私はそれを実行したのです。
神聖な、儀式として……私は兄を追い母の許へ旅立ちます……
 だが、金田一の推理通り、その遺書からは小雪の指紋は発見されなかった。
 由香利と小雪はすり替ったのか……?
 犯人は金田一の苦悩を嘲笑するかのように花嫁に疑問を抱く徳兵衛を暗室の水槽に首を沈めて殺して法眼家に関する乾板を割り、由香利と小雪の替え玉?で滋を脅迫していた吉沢をギターの絃で絞殺した。
 金田一は「生首風鈴事件」に端を発して形の違う三つの殺人事件にひとつの原点を発見し、黙太郎の協力で法眼、五十嵐一族の複雑な系譜をたどるうちに妖気と呪岨が重なり合った恐怖の事実を発見した。
 法眼琢也は初代病院長・鉄馬と愛人の子だが、周囲の反対を押し切って嫡子にしたのは五十嵐猛蔵だった。
 法眼家の実権を狙う猛蔵は弥生を連れた鉄馬の異母妹、千鶴と結婚したが、いまは故人となっている猛蔵の姿が弥生の人生の前に大きく立ちはだかっていた。
 それは一枚の写真の乾板だった。
 写真には閨房の猛蔵(四十一歳)と恐怖と怒りの果てに放恣の色が濃い弥生(十五歳)が写されている。
 弥生は琢也に嫁ぐ前に女子を出産した。
冬子だった。
 そしていま、法眼家の屋根裏に老女・千鶴がひっそりと余生を送っている。
 千鶴は猛蔵が弥生の自由を奪うばかりか妻に対する残忍な仕打ちを恨み、事故死にみせかけて夫を殺害していたのだ。
 弥生は暗い過去を乾板の中に写し、長い年月法眼家を守り生きてきたが、弥生の死後、誰かが跡をつがねば名家も崩壊する。
その弥生を一枚の写真で脅迫しっづけてきた徳兵衛、直吉父子、敏男殺害の陰に隠された由香利、小雪の存在、三つの殺人事件の犯人とその真相をとく鍵……
 金田一耕助が最後に直面した最大の難事件は法眼、五十嵐一族の複雑な人間模様をあやつりながら、凄まじい女の執念と戦慄の中で意外な発展と結末を迎えて行く……



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