"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 映画

「善人の条件」



1989.05.03公開 製作=松竹映像 配給=松竹
「善人の条件」
ジェームス三木 監督作品
123分 カラー ワイド

  
      ■スタッフ■
製  作:杉 崎 重 美
        
プロデューサー:深 澤   宏
        
監  督:ジェームス三木
助監督 :久保田 延 廣
        
脚  本:ジェームス三木
原  作:ジェームス三木
        
撮  影:阪 本 善 尚
        
音  楽:羽 田 健太郎
        
美  術:横 山   豊
録  音:原 田 真 一
調  音:松 本 隆 司
照  明:八 亀   実
編  集:鶴 田 益 一
      ■キャスト■
      :津 川 雅 彦
        
      :小 川 真由美
        
      :す ま け い
      :小 林 稔 侍
      :橋 爪   功
        
      :黒 柳 徹 子
        
      :泉   ピン子
      :汀   夏 子
        
      桜 田 淳 子
        
      :山 岡 久 乃
        
      :丹 波 哲 郎







■ものがたり■


平凡な学者の牧原芳彦が、栄光大学助教授の職を棄て、敢然と日暮市の市長選に出馬したのは、もって生まれた正義感からか、あるいは潜在的な権力志向によるものか。いずれにしてもこの賭けが、芳彦の運命を大きく狂わせたことは、まぎれもない事実である。
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関東北部の山間に位置する日暮市は、さしたる産業もない人口五万の田舎町。寒い冬の夜、市長の清川忠茂が愛人キクエの料亭で腹上死を遂げた。これがドラマの発端である。
未亡人のいさ子を中心とする市長派は、後継者選びに苦慮し、学者の芳彦に白羽の矢を立てた。芳彦は市長のひとり娘房子の夫なのである。どろどろした政治の世界がいやで東京に飛げ出した房子は、世間知らずの学者に市長がつとまるはずがないと猛反対する。
はじめ芳彦も乗り気ではなかった。しかし、早々と出馬を宣言した対立候補の柳田県議が、神武不動産をバックにした金権候補であることを知り、更に芳彦をかつぎ川そうとする市長派も、市会議長綱島や、キクエの兄で選挙ゴロの藤村など、利権めあての俗物が主軸だと分かり、いきどおりを覚える。
民主主義の原則をつらぬき、善良な市民を守るためには、清潔な市政を敷いて、利権に群がる連中を一掃するしかない。芳彦はついに決心した。公職選挙法にもとづくクリーン選挙を条件として、市長派からの出馬を承諾したのである。
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選挙が権力闘争である以上、ある程度の駆け引きやねじりあいは避けられない。芳彦もそれは承知していた。なにしろ前市長の地盤を引き継ぎ、名前も清川芳彦と変えての出馬である。選挙費用の大半が、リゾート開発を計画している桃山建設から出ることも、暗黙の了解事項だった。市長になれば彼らを遠ざけ、清潔で公正な政治をすればよいのだと、芳彦は自分にいい聞かせた。
しかし、田舎の選挙は、告示までに勝敗が決まってしまうという。それほど露骨な事前運動が繰りひろげられる。眉をひそめる芳彦の前に、元県警捜査第二課長で選挙の神様といわれる蟻田が登場した。綱島らのごり押しで裏参謀となった蟻田は、あの手この手で芳彦を洗脳する。この選挙が実は土建屋同士の戦いであり、候補者は単なるシンボルに過ぎないと言い、公職選挙法にふれないように選挙違反をするのが、勝利の絶対条件だともうそぶく。
人を見ればカネになるか票になるかを考え、白いものを黒いと言いふくめるのが政治家であるとまでいわれ、芳彦はすっかりいや気がさした。
芳彦は立候補の辞退をほのめかすが、すでに五千万円のカネがばらまかれていると、綱島におどされ、進退きわまってしまう。
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蟻田の陣頭指揮で、選挙戦のひぶたが切られた。芳彦のめざす理想選挙はどこへやら、地縁血縁、カネ、暴力、女、利権が渦巻く泥試合である。芳彦は市長派の幹部に振り回されて、心身ともに疲れ、いちじるしくプライドを傷つけられる。選挙事務所には、ゆすりたかりの選挙ゴロや、カネめあての情報屋、選挙賭博の常習者、柳田派のスパイ、どつちつかずの新聞記者などが、平然と出入りするありさまである。
突然、房子の不倫をばらす怪文書が、巷にばらまかれた。不倫の相手は前市長の忠実な秘書で、今も選挙事務所の出納役をしている服部である。柳田派は、ふたりが六年前にラブホテルで密会したときのビデオを、証拠として握っているらしい。芳彦にとっては晴天のヘキレキであった。
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逆上して房子を面罵する芳彦を、いさ子がさとす。落選したら離婚しなさい、でも当選したら市民に対する責任上、おしどり夫婦をつづけなければなりませんよ。
嫉妬に狂いながらも房子に未練がある芳彦は、何が何でも当選しなければと奮い立つ。不倫の噂を打ち消すために、芳彦は房子や服部と並んで選挙カーに乗り、心ない市民のあざけりを甘んじて受けた。だが、アテにしていた婦人層の票がどんどん減り、桃山建設にも見放されて、情勢は不利となった。
あせる芳彦は、いつのまにか金権選挙にどっぷりつかり、終盤の巻き返しをねらって、運動員を叱咤激励し、みずから買収行為の先頭に立つ。ミイラ取りがミイラになったのである。
そして芳彦に致命的な打撃を与えたのは、東京から呼び寄せた高校生の娘悦子が、睡眠薬で自殺をはかったことであった。悦子は父のみじめな変貌ぶりと、両親の不和に絶望したのである。
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投票日の前夜、日暮公民館で最後の個人演説会が開かれた。選挙のために家庭が崩壊し、人格まで一変してしまった芳彦は、幽鬼のようによろめきながら、演壇の前に進んだ。芳彦の心中には、ある重大な決意が秘められていた。

 




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