宝塚歌劇で正月をあげた新宿コマは、美空ひばり、島倉千代子、北島三郎、橋幸夫、森昌子など、相変らず歌手公演をメインにしての舞台づくりでことしも通し、さらに新しく都はるみや八代亜紀をローテーションに組み込んで、安定興行の度合いを深めている。
だが、こういう歌手公演の間に、ちらりちらりと“意欲"をむき出しにした公演を入れるのが、この劇場の常で、ことしは二月に若山富三郎でコマ歌舞伎『弁慶と義経』をやり、九月に爆笑ミュージカル『極楽島物語』をやり、十月には桜田淳子主演で『アニーよ銃をとれ』の舞台をうみだした。
とくにあとの二本は、いい出来で、ともに三演目とか再演とかの舞台なのに、今回が、いちばんの上出来になったのは、スタッフや出演者の努力が実ったサンプルだ。
ついでにいえば、山口百恵は、ここを皮切りに“引退披露"のステージを開始したのである。
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