"My Pure Lady" Junko Sakurada
桜田淳子資料館

管理人室

 

管理人の迷酊放談

〜よい酔い余韻の良い好い宵〜

No.0004 マスコミ報道のトリック

 

 私はつむじ曲がりですので、みんなが一つになって盛り上がっている時ほど人間は用心する必要があると思っています。
 かつては支持率70%だった小泉首相、イラク開戦時は80%だったブッシュさん、常に90%台だったフセイン大統領、ほとんど100%だった金正日総書記の例を持ち出すまでもなく、熱が高くなればなるほど胡散臭いと思ってしまう私には、マスコミの「長嶋ジャパン」の大合唱はたいへん異様なものに映りました。
 それが自然発生的なものならともかく、そこにはマスコミのある意図が感じられ、そうした流れに対して、なんとか掉をさす機会を窺っていました。
 それでオーストラリア戦に負け、銅メダルになったのを契機に、一石を投じることにした次第です。

 私が「長嶋ジャパンはイリュージョン」で知って戴きたかったことは、マスコミの犯した罪についてであり、もう一つはマスコミがよく使う表現上のテクニック、悪く言えばマスコミの報道トリックについてでした。

 文章を書くにあたって、書く側にはある意図があります。
 その意図を実現させるために、色々な言葉を選び、叙述や修飾や表現のテクニックを駆使します。

 マスコミがよく使う手法には、大きく分けて、次の6つあると私なりに結論付けています。
 即ち、
 @強く断定することによって間違いないと印象付ける断定型
 A単なる主観を事実のごとく思い込ませる捏造型
 B修飾語を入れて印象を誘導する誘導型
 C自分の意図とは違う事実を隠す隠蔽型
 D事実を羅列するだけで真実に近づこうとしない羅列型
 E長所を逆手にとって短所と思わせ光を失わせるブラックホール(黒穴)型
 以上の6つです。
 
 マスコミ報道には、そうしたテクニックがあることを、皆さんに知っていただくために、第一回の「長嶋ジャパンはイリュージョン」の中畑さんに関する部分も、これらの手法を用いて書きました。
 
 私は、マスコミがある人に対して悪意をもって書くときには、その人のいい部分を攻めて光を失わせる方法があることを、淳子さんへのバッシング記事から学びました。
 人間の長所が、マスコミのさじ加減一つで短所になってしまう怖さを、二十数年前の「それで淳子は嫌われる」というようなタイトルの女性週刊誌の記事によって知りました。

 淳子さんが、スタッフや他のタレントたちから嫌われている理由として、淳子さんがスタッフの指示を聞かなかったということが詳細に書いてあったのですが、その指示内容を読んでみると、スタッフの指示の方がプロとして間違っているように私には思えました。
 「コントは下手なほうが受けるから台本をあまり読まなくてもいい。覚えてはいけない」という指示を出したにも関わらず、仕事熱心な淳子さんは「少しでもいいものを作ろうと努力するのがプロ」という考えの下に、その指示に従わず(D羅列型)、一人だけ台本を読んで覚えて(D羅列型)、いい子になろうとしたために(※B誘導型)、言いつけを守った(※B誘導型)他のタレントやマネージャーたちからも苦情が出ている(D羅列型)ということが書いてあり、だから淳子さんは嫌われると結論づけてありました(※E黒穴型)。
 それを読んだ私は、そんなスタッフや、そんなスタッフの言うことを聞いて、台本を読まなかったり覚えなかったタレントたちの方に問題があると思いました。
 私が、アンチ淳子派から、少しずつ態度と見方をシフトし始めるきっかけになった記事でした。

 当時の芸能界において、淳子さんは少数派だったかもしれませんが、言っていることに間違いはなかったと思います。
 淳子さんのコントに賭ける情熱はその後理解され、逆にコントの出来ない歌手の方が肩身が狭狭くなっていったように私には見受けられました。
 音楽番組での淳子さんの出演料はどんどん上がり、あのジュリーと並び最高ランクにまで上り詰め、なんと百恵さんの倍というギャラランキングも見ましたが、それも淳子さんがコントで活躍することを期待してのことという説明がしてありました。
 淳子さんバッシング記事を書いた記者はどんな風に思いながら、その説明を読んだか興味のあるところです。

 しかし、それは後になってわかる話であり、当時は孤独な戦いを淳子さんは強いられていたのでした。
 このように時間がたって初めて見える真実があることを淳子さんを通じて学ぶことが出来たわけで、淳子さんに感謝したいと思います。

 このようにして、代表編成委員会が悪いと知りながら、中畑さんが悪いと思い込ませるように、マスコミ手法を用いて書きましたが、私が淳子さんのバッシング記事から淳子さんの良さを見出したように、あの文章から「実は中畑さんは頑張っていた」ということを見抜く人がいることを信じていました。
 それが私が皆さんに投げかけた謎かけの一つ目で、我ながらよく書けました(^^)。
 謎かけかけ賭けにも懸けています(笑)。

 
 もう一つの謎かけは、金メダルをとれなかった責任が誰にあるかについてでした。

 コラムの中で私は、代表編成委員会と長嶋さんサイドと中畑ヘッドコーチたちのそれぞれの落ち度をただ羅列しただけで、その責任の重さや大小については順番をつけませんでした。
 この羅列というのが味噌でして、マスコミもこうした表現上のトリックをよく用いていることから、その手法を取り入れて書きました。

 本音としては、出来るだけ自分に火の粉がふりかかってほしくない、藪をつついて大蛇が出てきては困るというのがあるのでしょうが、後になってあのとき何故書かなかったという責任追及の声から免れるためには、アリバイ証明をしておく必要があって、事実を羅列しただけでお茶を濁すのだと私は思います。
 羅列する、並列的に書くということは、一見平等のように見え、問題がないように思う方がいるかもしれません。
 しかし、並列的に書くことによって、何が真実かわからなくなります。
 先ほど淳子さんの記事で言えば、ただ指示に従わなかったという事実だけを羅列して、なぜ指示に従わなかったという点についての総合的な分析がなかったために淳子さんが悪いという印象しか与えないようになっています。
 情報の羅列、垂れ流しで終わっては、ジャーナリストとはいえないのではないでしょうか。

 現在、チェチェンの悲惨な状況が毎日のごとく伝えられ、テロリストたちが人質にとった人々に対して、水も食料も与えず、抵抗しようとした少年やかばおうとした人たちを容赦なく撃ったなどの情報が伝えられてきています。
 本当にひどいことだと思いますし、子供たちの未来が大人たちの勝手な政治闘争によって奪われたことが悲しくてたまりません。
 しかし、情報分析を加えることなく、あした映像を垂れ流しにすることはとても危険なことと言わざるを得ません。
 勿論現場に行って、それを伝えるのがジャーナリストの役目なのですが、テロリストたちがああしたことをした背景には、ロシア政府がチェチェン人の独立を認めようとしなかったために、100万人しかいない国民の5分の一とも6分の一とも言われる人たちが既に亡くなっているという歴史や、プーチン大統領は「チェチェン人を根絶やしにしてもいいと思っているに違いない」と思っているチェチェン人が多いといった現状認識に触れなければ、とても公平な報道とは言えないということです。
 ロシア政府側が、ああした悲惨な状況を撮影することを許可しているのは、それが報道されることで、ロシア政府側にとって有利にことが運ぶという計算が働いているからです。
 そうしたことの裏に何があるのかを伝えず、悲惨な映像を垂れ流しし、テロリストへの憎しみだけを煽り立てるような真似は、ロシア政府の思う壺になるということです。
 これまでチェチェンでの悲惨な状況が映像として世界に発信されたことあったでしょうか。
 ロシア政府側は徹底した取材規制、情報統制をして、そうした悲惨な状況が映像で流されることを防いできたということを伝えることも忘れてはなりません。
 いかに情報を分析することなくただ羅列し、垂れ流しすることが危険か、お分かりいただけると思います。

 そうしたことを皆さんに知って頂きたくて、その手法を用いて書き、それを逆手にとって謎かけとした次第です。

 五輪で金メダルを取れなかった件に関する責任の大小については、完結編で述べたとおりですが、中畑さん、長嶋さんに責任がないとしたら誰に責任があるかわかるようにヒント(答)は出しておいたつもりです。

 ということで、淳子さん問題を理解して戴くため、そして、マスコミのやり方について知って戴くために書いた「長嶋ジャパンはイリュージョン」であり、感情の赴くままに書いたものの対極にあるものだと思っています。
 感情が激すれば激するほど、用心深く、冷静にならなければならないと、自分を戒めている管理人であるということもご理解頂けたら幸いです。

 色々な手法を混在させたために、混乱された方には申し訳ありませんでしたが、頭の体操になったと思い、ご勘弁ください。
 これでまだモヤッとされておられる方はスッキリされるまで、掲示板の文章とコラムをニラメッコしながらよくお読み下さい。
 わかりやすく解説し、一部書き直した 解説付改訂版 を用意しましたので、そちらをご覧いただければ、文章には色々な仕掛けがあることがよくおわかり戴けると思います。(04.09/08)


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