"My Pure Lady" Junko Sakurada
桜田淳子資料館

管理人室

sonoさんの『新・淳子ヒストリー』


  sono.28  新シリーズ E
〜『 少年 』編〜

SONO - 04/04/25 02:18:37
コメントのタイトル: 『 少年 』

コメント:
 管理人様、皆様、こんばんは。 
 
 それでは、いきます。 
 『新・淳子ヒストリー 少年』 
 
 昭和、10年代のある日、南九州の、田舎のとある家に、女の子が誕生しました。 
 女の子は、すくすくと育ち、18才の時、旧和裁学校(現○×商業高校)を卒業しましたが、当時、俳優の津○雅○さんが、大好きで、少女は、津○さんに会いたくなり、ある日、映画会社の新人募集の記事をみて、審査を受け、奇跡にも、合格してしまいました。 
 (末は、女優か)と両親、親戚、ご近所、周りの期待に、少女は胸が押潰されそうになりました。 
 津○さんに、会いたいだけだったのに・・、気楽な気持ちで受けた、オーデションだったのに・・。だんだんと膨らんでいく、周りに期待に、見知らぬ芸能界という世界に、足がすくんでしまいました。 
 少女は、自ら招いたこととはいえ、その現実から、逃れようと、当時、お付き合いをしていた、男性と駆け落ちをしてしまいました。 
 しかし、少女は、駆け落ちの生活の寂しさから、両親に手紙を書きました。 
 少女の両親は、その手紙から、駆け落ち先を調べ、説得のうえ、九州に連れて帰りました。 
 やがて、少女は、駆け落ちの男性とは、終わりをつげ、見合いをしました。 
 
 「あんたの、おとうさんは、見合いに遅刻して来たうえに、よれよれのズボンとジャンパーで来てね、なんて、失礼な人だと、思ったけど、二ヶ月間、お付き合いをして、優しいひとだったから、結婚したんヨ。(笑)」
 と当時のことを、息子に語ります。
 かくして、明るい女性と無口な男性は、結婚をしました。
  
 やがて、その二人の間に、男の子が誕生しました。
 それは、それは、愛らしい(笑)、かわいい(笑)、赤ちゃんで、女優を目指したこともある、母親から、生まれた、子供でしたから(末は俳優か〜)と大いに、期待されましたが、残念なことに、父親にそっくりの容姿で(末は怪優か〜)と言われる様になりました。(笑)。 
 
 やがて、その赤ちゃんも少年となり、小学校に上がるころ、テレビドラマの(キイハンター)のアクションスターの千葉真一さんが好きで、千葉さんのまねをして、屋根から、飛び降りて、腕と足を骨折してしましました。 
 
 さらに、小学校6年のころ、少年は、仮面ライダーに夢中になり、今度は、木の上から
 「ライダーキック」
 と叫びながら、飛び降りて、腕を骨折し、少年が唯一、目立てる、運動会にも出られませんでした。 
 本業の勉強の方は、かなり苦手で、教科書は、学校の机の中にしまい込んだままで、自宅の部屋の勉強机の上には、(仮面ライダー変身ベルト)が、置かれていました。 
 
 少年は、給食と昼休みが、大好きです。 
 
 ある日、少年は、いつものように、給食をたらふく食べ、昼休みに友人達と校庭で(仮面ライダーごっこ)を始めましたが、肝心の(仮面ライダー変身ベルト)を教室に忘れてしまいました。 
 あわてて、6年2組の教室に取りに帰ると、教室の隅で女子達数人が(月刊明星)とう雑誌を見ていました。
 少年は、何気なく見た、明星の付録のポスターに胸がときめきました。
 心臓が音をたてて、鳴り出しました。
 胸の奥が、苦しくて、押さえてしまいそうなくらい痛くなりました。 
 少年は(何んバイ?。この気持ちは)と初めて経験する、動揺に訳が分からず、 
 
 「その子、誰バイ?」
 とポスターを指差し、女子達に訊ねると、 
 「ジュンコ、サクラダ・ジュンコよ」
 と女子達は答えてくれました。 
 少年は、深くその名前を胸に刻みました。 
 
 そして、放課後が待ちきれずに、走って、家に帰りました。
 母親を捜すと、 
 
 「かあちゃん、明星という、本を買いたいんや。こずかいをくれ、お願いバイ」
  
 「明星いうたら、あんた、大人の本じゃないの。あんたには、まだ早いわ」
  
 「かあちゃん、ジュンコが見たいんや。サクラダ・ジュンコという歌手のポスターが欲しいんや」
  
 「あんた、ジュンコちゃんが好きなんね、仮面ライダーは、どうしたん?」
  
 「仮面ライダーは、もう、いいけん、お願いや。勉強もするし、手伝いもするし、サクラダ・ジュンコのポスターが欲しいんや」
 と絶叫している少年の様子に母親は、 
 
 「そんなに、ジュンコちゃんが好きなら、少し待っときなさい」
 と母親は、タンスの奥から、お金を取り出し、500円を手渡してくれました。 
 それから、少年は、自転車を堤防沿いの道を、息を切らせながら、走らせました。
 そして、目的の本屋さんに到着すると、 
 
 「おじさん、明星や。ジュンコの明星や」
 と興奮ぎみに訊ねると、 
 
 「明星か、それなら、○ちゃん達が、昨日、買っていったので、最後や。売り切れバイ」
 と言われ(今日、昼休みに女子達が、見ていた、明星だ)と気付きました。
 少年は、母親から、もらった、500円を握りしめたまま、その場に立ちすくんでしまいました。
 その、様子を見ていた、本屋の主人が、 
 
 「町(市内)の大きな、書店だったら、在庫があると思うけど・・」
   
 少年は、今度は、自転車で、堤防沿いの道を引き返して、今度は、父親を捜しました。ちょうど、会社から、帰宅していた、父親に、 
 
 「とうちゃん、町まで、車で乗せて。お願いやっ」
 と少年が事情を説明すると、 
 
 「今日は、もう遅いけん。本屋も閉まっている。明日にせんか」
 と父親の返答に、少年の頬には、我慢できずに、涙が流れ出しました。
 こらえても、こらえても、涙が止まりませんでした。 
 
 「とうちゃん、今日でないと、だめなんや。ジュンコのポスターが、今日、欲しいんや」
 と訴える少年を見て、母親の応援もあって、
 「なら、行くだけ、行くか」
 と少年と父親は、市内まで1時間、車を走らせましたが、思いあたる、書店は全て、回ってみましたが、すでに、閉店していました。 
 少年が、落胆している、様子をみて、父親は、車から降りて、閉店した、書店のシャッターを叩きはじめました。 
 店内に灯りが点き、いぶかしげに、店主が出てくると父親は、書店の主人に頭を下げている様子です。少年は、車の中から、その様子を見ていました。
 しばらくすると、父親が(こっちに、来い)と手招きするので、少年は、車から、飛び出し、 
 
 「特別に開けてもらったぞ。この人(店主)にお礼を言え」
 と父親から、言われ、 
 「おじさん、ありがとう」
 と挨拶をかわし、客の居ない、静かな店内を捜すと、目的の明星がありました。 
 
 「とうちゃん、これじゃ」
 と明星を指差すと、
 「よかったな」
 と父親も安堵した様子でした。
 
 「おじさん、これ、下さい」
 と少年は母親からもらった、500円を店主に渡すと、おつりと一緒に、袋に入った、明星を渡されました。 
 自宅に帰る途中、車の中で、少年は、何回も
 「ありがとう」
 と父親に言いました。 
 
 自宅に帰り、少年が、母親に、明星の入った、袋をさし上げてみせると、母親は、きれいな、笑みを浮かべていました。 
 それから、少年は、ご飯を食べて、風呂に入り、自分の部屋で、袋から、取り出し、十字に包装してある、明星を開きました。
 少年はドキドキしました。ページをめくると、途中、淳子さんの記事があり、少年は初めて、サクラダ・ジュンコは(桜田淳子)と書くことを知りました。
 そして、明星の中ほどに、付録として、挿んである淳子さんのポスターを見付けました。
 そのポスターを手に取り、しばらく、見つめていました。 
 昼間、小学校の教室で初めて淳子さんのポスターを見て、感じた気持ちが、甦りましたが、少年は、その気持ちが、(初恋)だと気付くには、まだ暫く、時間がかかりました。
  
 その後、少年の自宅の部屋の机の上には(仮面ライダー変身ベルト)から(淳子さんのポスター)が置かれる様になりました。  
 少年の(長い一日)は終わりました。 
 
 そして、少年は、40才になっても、淳子さんのポスターを大切にして、(少年 パートU)の日々を送っているそうです。 
 
  昨日も今日も明日も 
   ず〜と 
   大好きなのです =@
 
 

(つづく)





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