"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 映画評

「スプーン一杯の幸せ」(松竹・サンミュージック)

  週刊ファイト「ファイト・メロメロ劇場」(1975.05.20)

  桜田淳子の魅力、この一篇で全面開花。

 

 桜田淳子の魅力、この一篇で全面開花。なんて素晴らしい女のコだろう、この淳子ちゃん。

 トップ・シーンなどはオーソドックスでいきなり主題歌の「ひとり歩き」にノッて、クリーンの着物姿の淳子ちゃんが登場。ゾクゾクする淳子の表情なのだ。

 広瀬監督さん、すごいのヨ、ホント。淳子ファンは泣いて喜ぶんですよ。

 母親の再婚で微妙にゆれる17歳。ちょっぴりスネて家出して、浜辺で日の出を見る淳子の表情!「恋はいつもうしろ姿で 私の前から消えてゆくのよ〜」

 走り出す淳子。バドミントン部のキャプテン・淳子その純白のユニホーム。短かいスカート。そのスンナリと美しい脚。淳子は歌手よりも女優で大成しそうな女のコ。吉永小百合の再来を思わせるほど、この映画の淳子は素晴しかつた。

 東宝の百恵ちやんの「西河克己監督)は見なかった。松竹の淳子があまりによかったので、百恵ちゃんはあまわしという感じ。百恵ちゃん来週は見るからね、ごめんナサイ。

(佐倉 夏)

S50/04/26
松竹
「スプーン一杯のしあわせ」 主演


  ■スタッフ■ 
製  作:樋口  清
原  作:落合 恵子(祥伝社版)
企  画:相沢 秀禎(サンミュージック)
脚  本:山根 成之・南部英夫、落合恵子
監  督:広瀬  襄
撮  影:竹村  博
美  術:重田 重盛
音  楽:高田  弘
録  音:田中 俊夫
調  音:小尾 幸魚
照  明:飯島  博
編  集:太田 一夫
監督助手:今関 健−
進  行:徳重 里司
製作主任:池田 義徳
スチール:赤井 博且
製作宣伝:寺谷 正雄
主席歌 「ひとり歩き」
作  詞:阿久 悠
作曲編曲:筒美京平
  歌 :桜田淳子
<ビクターレコード>
協  力:YYヨネックスバドミントン 
  テニスの国際ブランド 
衣装協力:京都呉服センター


  ■キャスト■

梅村乃里子
=桜 田 淳 子

梅村 千恵

=浜   木綿子

福島 清彦

=黒 沢 年 男

福島ひとみ

=早乙女   愛
松田  徹=坂 上 大 樹
丸山 良夫=佐 藤 佑 介
山下  剛=加 藤 和 夫
東々亭豊楽=三遊亭 小円遜
宇田川 正=橋   達 也
若林 辰平=中 村 一 司
松本喜代子=清 水 理 恵

丸山 耕作
=坂 上 二 郎
古賀 昌子=沢 田 亜矢子
田所 由美=石 原 亜希子
林   泉=長谷川 コッペ
鮎川 光江=百 々 玲 子
女 学 生=西 川 弘 子
島岡 大介=沖   正 夫
大古 茂一=山 本 伸 二
尾崎  勝=伊 藤 幸 雄
高 校 生=登 坂 仁 彦
神近 校長=葦 原 邦 子
松田 徹海=山 田 禅 二
石本 医師=穂 積 隆 信
ゴルフ場の
  指導員

=小 松 政 夫







■ものがたり■
    お嫁の買い手がなくなる
 梅村乃里子 (桜田淳子)は、バドミントン部に籍を置く快活で夢多き17才の女子高校生だ。
 桜の花が満開のある日、乃里子ら仲良し五人組は野立ての席で足がシビれて我慢しきれず、着物の据から脚を二ョキッと出し、みっともない格好をしてしまう。偶然、その場に居合わせたひげ面の中年男は、その格好の面白さについ彼女達の写貞をスナップし、週刊誌のグラビアに載せてしまった。
 「お嫁の買い手がなくなる! 名誉毀損だわ。行って土下座してあやまらせよう!」五人はカンカンだ。
 数日後、披女たちの高校に国語の教師で独身の福島清彦(黒沢年男)が赴任してきた。スーツをきちんと着こなし、端正で男らしい顔立ち。若い女の子を夢中にさせるには充分だ。しかし、この先生こそあのいやらしい中年男だったのだ。昌子、由美、泉、光江の4人はポーツとして今までの意気込みはどこえやら。だが気の強い乃里子だけは、なんとしても謝罪させねば気がすまない。

     愛の告白
 学校の帰途、乃里子は兄妹校の学生で同じバドミントン部の主将松岡徹(坂上大樹)に、自分で作ったというフォークのテープを渡された。家へ帰り、たまたま、乃里子のところへ勉強を教えてもらいに釆ている呉服屋の息子の良夫(佐藤佑介)とそれを聞いてビックリ仰天。「乃里子さん!僕は好きだ!」フォークのテープが愛の告白<eープに変身していたのだ。というのも常日頃から乃里子に想いを寄せている徹が、乃里子に対する気持をテープに吹き込み引き出しの中に入れて置いたのをフォークのテープと間違えて渡してしまったのである。年の割にはませている良夫からひやかされた乃里子はオカンムリだ。

           美しい母
 乃里子の母千慮(浜木綿子)は小料理足「梅村」の女主人だ。事情があって夫の山下剛と別れ、今では板前見習いの辰平(中村一司)、お手伝いの喜代子(清水理恵)と店をきりもりしている。落語家の豊楽(三避亭小円遊)、歯科医の宇田川(橋達也)、呉服屋の丸山(坂上二郎)らは、千恵の若々しい美しさにはのかに思いを寄せ、常連の飲み仲間でもありいつも店の中はにぎやかだ。

     話せる父
 実は、乃里子は母には内緒で時々伊豆で絵を書きながら一人で暮している父親の山下(加藤和夫)に会っていた。千恵は知らないふりをしていたがとうに気づいているのだった。乃里子は山下にはかくしだてなくなんでも話してしまう。やはり血のつながった父親だからだろう。



     シゴキ
 彼女のバドミントン部は毎年最下位だ。乃里子は汚名挽回のためという気持ちもあってか、大学時代、バドミントンの名選手だった福島に「グラビア事件」の償いとして、部をコーチしてくれるように頼んだ。福島のシゴキはきびしい。「スポーツは遊びじゃない」「やる以上は真剣にやれ」という福島。そんな練習の中で、乃里子は何故か今までにない充実感を覚え。福島の人間的魅力に少しずつひかれてゆく自分を感じていた。

     消えた愛
 ある日、妹のひとみ(早乙女愛)と二人暮しの福島は、乃里子の家へ食事に招待された。福島と美しい千恵は以前からお互いに好意を持っていた。千恵は十年前に交通事故で死んだ福島のフィアンセに似ていた。二人の間にはいつしか大人の恋が芽ばえていたのである。その夜、福島は千恵の心暖まるもてなしを受け結婚を決意した。
 数日後、「幸せを僕もやっとつかめる。君のお母さんに逢ってそう思った。妹のひとみも賛成だ。あとは君だけだ。」福島は乃里子に相談した。そんな福島の言葉に最初は猛反対の乃里子。しかし、福島との一対一の苦しいラケットの打ち合いの中で何かが少し変わった。痛さと口惜しさの涙の中で何かが変わった。−−−幸せなんて、スプーンの上のシュガーみたいなものネ−−−。淡い愛は消えてしまったけれど又明日がある。
 乃里子は一まわり大人になって、そして明日に向って、また思い切りラケットを振るのだった。



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