"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 映画評

「スプーン一杯の幸せ」(松竹・サンミュージック)

 

週刊ファイト「ファイト・メロメロ劇場」(1975.05.13)

 さわやかな涙で描く17歳・淳子

 

 さわやかな涙で描く17歳・淳子

 これがボクのこの作品を観た第一印象。

 広瀬襄は山根成之と違ってへンな小細工(ボクはその小細工も好きなのだけれど……)はせずに正攻法で撮っているんだけどまたそれがいいんだなあ−−最近の松竹青春路線は山根さんばっかりで多少アノ背景が赤くなるのにも飽きがきたところで真打ち・広瀬さんの映画作りは一服の清涼剤的な感じでよかったです。(なんで松竹サンはもっと広瀬さんをどんどん使ってくれないの? もったいないよォ)

 話の筋はわりとありきたりみたいな感じ、まあ桜田淳子第一回主演って事でこうなったと思うけど何故か納得がいくんです。こんな風に書くと熱烈な淳子派と思うでしょうがボクは百恵ナノダ。

 でもこの作品を観ていると別に淳子だ、百恵だというよりも一つの作品として素直に画面の中に入っていける。

 しかし桜田淳子は前々から演技のうまい人だなあと思ってたけど、主演となるとより一層うまく感じるな。それには彼女のヤル気もあっただろうけど彼女の魅力を十二分に発揮させた広瀬さんの さわやか♂縁o力も素晴らしい。

 デビュー作の「愛ってなんだろ」はあまり好きじゃないんだけど二作・三作目「恋は放課後」ムツゴロウの結婚記」としり上りによくなってきてるもの。 それこの広瀬さんは藤田敏八のデビュー作「非行少年・陽の出の叫び」をパキさんと書いているノダ。何度も言うようだけどこんな有能な人なんでもっと映画撮らせへんのやろか?

 この人は現在の日本映画界では貴重な存在だ、特に青春映画の中ではーーわりと他の監督は凝った映画作りをする人(それもまた好きなんだけと……)の中で素直な映風作りをする広瀬さんはボクは大好きだ。

 昨年、日活映画「バージン・ブルース」(監督藤田敏八)で主役の秋吉久美子よりもちょっと魅力的だった清水理恵がほんとにもうシャクにさわるんだけどチョイ役でこの作品に出ている。力ワイソウ。

 それと「伊豆の踊り子」に続いて高田弘(音楽担当)がいい仕事をしました。ラスト近くの浜辺のシーンは素晴らしくヨカッタ。

 ウーン、どうしてこうもボクは広瀬さんのシャシンになるとあきめくらになるのかな? その答えは次回作で出そう、もし出なかったら次々回作で、そして……。(小西均)

 

S50/04/26
松竹
「スプーン一杯のしあわせ」 主演
監督:広瀬  襄

主な出演者
桜田淳子
☆黒沢 年男
 早乙 女愛・佐藤 祐介
 沢田亜矢子・清水 理恵
○坂上 二郎
●浜木 綿子




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