"My Pure Lady" Junko Sakurada
桜田淳子資料館

管理人室

 

管理人の迷酊放談

〜よい酔い余韻の良い好い宵〜

No.0007 「人間には男と女しかいない」は本当か

 

  人間の性には、肉体的な性、生物学的な性のほかに、身体の性別だけでは捉えきれない社会的・文化的な性がありますが、その肉体的な性だけをとってみても、性染色体、性腺、外見、外性器(見たかたち)、内性器(中身の組織・機能)、生殖能力などさまざまな要素によって構成されていて、一様ではありません。
 そして、そのすべてが一致して男性であり、女性である場合もありますが、それらが一致しない場合もあることを、はたしてどれだけの方が知っておられたでしょうか。


 たとえば、染色体情報は男性でも、女性器を持つ方がおられますし、中には両性の外性器を持つ方も現実に存在しておられます。
 そのように外性器から性別を判断できない人々を、かつては、「間性」「両性具有」「半陰陽」といった言葉で呼んでいました。
 最近では、こうした先天的に、生物学上の男性的特徴と女性的特徴を合わせもつ人々のことを「インターセックス」と呼ぶようになりました。
 そうしたタイプの人間がいるということをまず皆さんに知って戴かければなりません。


 更に、遺伝学的には、性染色体がXXなら女性、XYなら男性と言われていましたが、実際には、XとYの染色体のうちのほんの一部しか性の決定に働かないことがわかってきました。

 Y染色体を持った女性(?)が存在するのです。
 もしあなたが、見た目も、戸籍も、意識(以後「性自認」)の上でも、間違いなく女性として育てられてきたのに、Y染色体を持つというだけで男性と決め付けられた場合、あなたはどう思われるでしょうか。
 絶対に納得できないことでしょう。

 精巣性女性化症という病気の場合、精巣から男性ホルモンが出ても、それを受け入れる受容体が細胞にない場合、肉体は男性化せず女性の身体になってしまいます。

 性腺形成異常症という病気の場合、胎児の早い時期に精巣が死んでしまうため、男性ホルモンが出されず、女性の肉体になってしまいます。

 このように、sexにおいて、性染色体が、XYでも、その一部が違っていたり、別の代謝異常でホルモンの分泌が働かなれけば、gender(@戸籍上の性、A養育上の性、B社会的な役割、C性自認)が普通の女性として育つ場合があることを知っておいて戴きたいと思います。
 染色体がXYだから男性と即断するのは、本人や周囲に混乱をきたすだけということが、だんだんわかってきて戴けたのではないでしょうか。


 一方、逆に、Y染色体を持たないけれども、男性ホルモンを作り出せる女性(?)も存在します。
 外見でも肉体的な能力の面でも男性としか思えないけれど、セックスチェック(染色体確認)をすれば女性という人が存在するのです。
 この人が女性として、オリンピックの世界に出ることがフェアーなのかという問題は残りますが、それ以上はプライバシーに関わる問題であり、我々が口をはさめる問題ではありません。
 最近のスポーツの世界大会では、このようにセックスチェックを行っても、本来女性の能力の人をチェックしてはじき出すことは出来ても、男性の能力を持つ人をチェック出来ない、このチェック方法に、どれだけ意味があるのか疑問を持たれ始め、最近は、意味のないものとして、やめる傾向にあるようです。
  
 記憶力がいい、足が速い、力持ちである、ジャンプ力がある、リズム感がいい、音感がいい、といった遺伝学的な特性があるように、男性ホルモンを自ら作り出せる能力も、そうした特性の一つとして認め、受け入れる時代が来ているのかもしれません。


 血液型占いを信じている人は多いようです。
 しかし、それで相手を差別する人はいません。
 血液型が違っても人間であることに変りはないと思っていますし、性格を4つに分類する大雑把な分け方が不可能であることまたもみんな知っています。

 それなのに、染色体のタイプにどうして縛られるのでしょうか。
 染色体が、XXであろうとXYであろうと、それ以外であろうと、人間には変わりがありません。

 人間の特性に、男性的なものと女性的なものがあるのは確かなようですが、男がいつも100パーセント男性的なものだけで占められているとは限りません。
 女性も同様で、女性にも男性的な部分が存在します。
 最近は、ギャル男、親父ギャルという言葉もあるように、男性の女性化、女性の男性化が言われ始めています。

 性的少数派の人たちは、その先取りをしていた人たち、というのはあまりに能天気すぎる見方ですが、苦労して、多くのものを勝ち取ってきた皆さんの話はきっと得るものが多いと信じます。

 こうした「インターセックス」の皆さんが奇異に見られることなく、気軽に社会に顔を出し、それを当然のごとく受け入れる社会が一日も早く来ますように。(04.09/22)


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