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"My Pure Lady" Junko Sakurada
桜田淳子資料館

管理人室

SONOさんの『新・淳子ヒストリー』


  SONO.34  新シリーズ K
翔の時代 

SONO - 書き下ろし


 [六通目のラブレター]
 姉ちゃんにお別れをした私は、また、県外の日常の生活に戻りましたが、当時の私は、姉ちゃんの他界という重さに耐えられず、気力をなくし、無断欠勤で会社はクビになり、ただ、姉ちゃんの思い出にすがりつき、アパートで寝て暮らすだけの日々。
 姉ちゃんや、両親のやさしさを理解する余裕もなく、逆に姉ちゃんの病をぎりぎりまで知らせなかった、両親に、筋ちがいの怒りさえ抱きました。
 両親には、あいも変わらず心配の種をばら撒いていたのです。

 両親から私の堕落した状態を聞き、私のアパートに親友Tが片道4時間の道のりを訪ねて来てくれました。
 相棒Tは、私の気持ちを考えた末に、姉ちゃんの娘、○○子が私の更生には必要だと考え、地元の親戚に断りもなしに私のアパートに連れてきてしまいました。
 地元と私の住む県外は、片道、車で4時間、無謀といえばそれまでですが、相棒Tのやさしさは、私には染みました。
 ですが、気になった私が、田舎の親戚に電話をいれると地元では○○子の姿がみえなくて、誘拐事件として、大騒ぎになっており、あわてて、私、相棒T、○○子で片道4時間を車で今度は地元に引き返した事件がありました。
 
 地元へ、引き返す車の後部座席でさすがに○○子は疲れたのか、ぐっすり寝ておりました。
 私といえば、自分自身の行いが原因で招いてしまった、今回の誘拐?事件に、姉ちゃんにもう一度、フライパンで殴ってほしいほど、落ち込み、相棒Tはといえば、同じく、勝手に○○子を連れてきたことに、かなりの憔悴の様子がみられ、重苦しい雰囲気が地元へ引き返す間、車中に漂っていました。

 車中には、淳子さんのカセットテープが繰り返し流れておりましたが、後部座席で寝ていたはずの○○子が突然
 「これ、おかあさん(姉ちゃん)と歌ったよ」
 「♪クッククック〜♪」
と歌いだし、私とTは顔を見合わせて、○○子に続けて
 「♪クッククック〜♪」
と歌いました。
 
 車の後部座席で無邪気に歌う○○子の様子を見て私は、気がつきました。
 
 (ここに、居た。
 ここに、○○子が、いるじゃないか。
 ここに、姉ちゃんの生まれ変わりが、居るじゃないか。
 姉ちゃんは、大事な人を残してくれた。
 ○○子は、姉ちゃんが、俺に宛てた、ラブレターなんだ。
 大切なラブレターなんだ。
 姉ちゃんの他界は辛いことだけど、悲しんでいる暇はないぞ。
 姉ちゃんが残してくれた、天使の将来が大事だぞ。
 俺には、悲しんでいる暇はない。
 ○○子が高校を卒業するまで、俺が、○○子を守っていこう。
 姉ちゃんが俺を守ってくれたように、今度は俺が○○子の力になる番だ。
 県外なんて、遠くに俺は居ちゃいけない、俺は地元に戻って、働くぞ)
 
 私は自身を立ち直らせてくれた、姉ちゃんに淳子さんの歌にそう伝えました。

 そう決心すると、今回の誘拐事件騒動で、親戚や地元の人、警察の方、消防団、青年団の方に大迷惑をかけたこと、両親に大心配かけたことに、素直に謝れると思いました。
 (1から、やり直そう、いや、皆に迷惑をかけた分、0から始めよう)と思いました。
 高校を卒業して、県外に就職した、私が帰るべき処は、生まれ育った、故郷でした。
 はぶれもん、翔の時代。私が、31才の時でした。
  

   0の無い時計は毎日を1から刻みます

    1からやり直すか、0から始めるか

    それは、自分自身で決めることなのです =@
  
    

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